WEEKLY PLAYLIST #3
DJs comment
LUVHAIR Weekly #3 特集:梅雨
トラックリスト
Dim Light – Barbican Estate
MY DUB – (Album Version) – GROUNDCOVER.
blue – xiexie
NUMA – Satomimagae
Where did you go? – MIZ
レインコート – 天国旅行
THE FOG (田中ヤコブ 仮歌Ver.) -田中ヤコブ
Luv Hairがお送りするWEEKLY PLAYLIST。
毎週ひとつのテーマに沿って、7日間を彩る7曲を選びます。
第3回目の今回は、梅雨空と雨だれに合う曲を集めました。じめっとした湿気をまとった雨音が聞こえるかのような前半から、どんよりした空が少しずつ晴れて夏に向かう後半への流れを感じてください。
Barbican Estate『Dim Light』
東京を拠点に活動する3人組のバンド、Barbican Estate。その音楽はサイケデリックで幻想的、深い思考とエネルギーを感じさせる。サイケ・ロック〜ノー・ウェイブ〜シューゲイズやノイズを掻き鳴らす彼らは、東京インディーシーンのダークな台風の目となりつつある。 今回は彼らのセルフタイトル音源より、妖艶で破壊的な熱をもつドリームポップ『Dim Light』を。どこかブルージーなリフと繊細なボーカルの前半からファズの効いたギターがむせび泣く終盤へ、ひたすら増し続ける熱量は梅雨の湿気をも巻き込んで昇華させてしまう。
GROUNDCOVER.『MY DUB – (Album Version)』
98年より活動を続けるエクスペリメンタルバンド、GROUNDCOVER.が奏でるのは、超正統派ダブワイズかと思いきや、パンクやノイズでそれをぶち壊し、テクノのグルーヴへとまとめあげる唯一無二の音楽世界。 2019年のアルバム『BLACKED OUT』より、最高にダークでじめっとしたこちらの一曲を。タイトなグルーヴと諦観をもったポエトリーリーディングに、ホーンの悲哀。反復するビートに乗せられるうち、ずるずると内的世界への旅が始まるかのようだ。
xiexie『blue』
USインディーサウンドとサイケ・ポップ、アシッドフォーク、そしてシティポップの融合のようなサウンドを奏でるxiexie。2021年リリースのセルフタイトル作『XIEXIE』収録のこちらは、ドリーミーなギターと、チープなドラムマシンのようなビートがチャーミングだ。そこに儚く、スウィートに漂うボーカルの涼しげな温度感が、夏の前日譚のような一曲。
Satomimagae『NUMA』
RVNG Intl.とGuruguru Brainという2つの名門レーベルから共同でニューアルバム『Hanazono』をリリースしたばかりの Satomimagae。寂しさの漂う朴訥とした音作りと謙虚なボーカル、涼しい朝方の水辺のようなフォークサウンドは現代のNick Drakeのようだ。何語かもわからないような囁く歌声の中で、時折耳に届く歌詞の断片にはハッとさせられるような鋭さがある。エクスペリメンタル・フォークと形容するのがぴったりのSatomimagaeワールドに胸まで浸かりたい。
MIZ『Where did you go?』
ギターポップ・バンド、MONO NO AWAREのメンバーである玉置周啓と加藤成順によるアコースティックユニット、MIZ。前述のGROUNDCOVER.が豪雨なら、MIZの音楽は繊細で優しい、しとしとと降る雨だろう。彼らもきっとNick Drake好きなんだろうな、と思わせる。センチメンタルでありながら開けていて、孤独でありながら寂しくない。そう感じさせる温もりが確かにある、まるでうたた寝の夢のような曲だ。
天国旅行『レインコート』
ギターボーカル田澤寿詩の宅録プロジェクトとして始まり、現在4人組のバンドとして活動する天国旅行。バンド名はTHE YELLOW MONKEYのレファレンスだろうか。2021年リリースのアルバム『キッズ・アー・オールライト』より、こちらの一曲を。見ず知らずの青年の日記を読んでいるかのような、誠実に紡がれた言葉たち。そんな言葉を感情の昂りとともにまっすぐにぶつける、素朴でド直球のロックだ。これぞ青春そのものという音を前にしては、雨雲も退散するしかない。
田中ヤコブ『THE FOG (田中ヤコブ 仮歌Ver.)』
2020年10月14日に最新アルバム『おさきにどうぞ』をリリースし、東京のインディーシーンの新旗手として多数のアーティストやファンからの支持と期待を一身に集めるシンガー・ソングライター、田中ヤコブ。フォークユニット、ラッキーオールドサンのサポートメンバーやバンド「家主」のフロントマンとしても活躍する注目の人物だ。 そんな彼が2019年にトクマルシューゴ主宰のレーベル、TONOFONからリリースした音源『THE FOG EP』から、「THE FOG」のデモバージョンを。イントロのギターとともに雲が晴れ、ピアノが陽光を誘う。電話越しの声のような音像がどこか懐かしくノスタルジアを掻き立てる。さて、夏が始まる。