WEEKLY PLAYLIST #20
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LUVHAIR Weekly #20 特集:冬
Tracklist
ウィンターベイブ – フレディマーズ
ユートピアン – 新東京
素敵な11月 – SACOYANS
なんにもいらない – 冬にわかれて
“Dessau” – with Haruko Madachi – ペペッターズ
Cardigan Song – Kikagaku Moyo
おやすみ – 平賀さち枝とホームカミングス
LUVHAIRがお送りするWEEKLY PLAYLIST。
毎週ひとつのテーマに沿って、7日間を彩る7曲を選びます。
今週から12月ということで、今回は冬をテーマに選曲しました。刺すような朝の風、柔らかな午後の光、どこか切ない夜。そんな冬の1日を飾る7曲です。
フレディマーズ『ウィンターベイブ』
東京を拠点に活動し、今年10月に1stアルバムを発表したばかりのフレディマーズ。ここ1~2年で配信リリースされていた「スロー」や「ヤングアメリカン」などの楽曲を聴いて抱いていた、夏を奏でるバンドという印象は前述のアルバム『部屋の借り方』に収録の本楽曲を聴いて覆された。気だるげなヴォーカルにはどこか温かさが宿り、まるで冬の日に背中に浴びる陽光のよう。もの悲しさを醸し出す余白が秀逸な一曲だ。
新東京『ユートピアン』
2021年4月に結成されたばかりでメンバーは現役大学生という注目の若手バンド、新東京。洗練されたギターレス編成のサウンドは東京インディー・シーンの新時代を感じさせる。11月17日にリリースされた3rdシングルとなる楽曲「ユートピアン」は、ピアノの旋律に掴みどころのない妖艶なヴォーカルが舞い、ソウルフルなジャジー・オルタナティブ・ロックといった様相。今後の活躍に目が離せない。
SACOYANS『素敵な11月』
宅録シンガーソングライターのSACOYANを中心に結成された福岡在住のオルタナ・バンド、SACOYANS。今回ピックアップした楽曲「素敵な11月」も収録されている2ndアルバムの『Gasoline Rainbow』(10月13日リリース)は、ルーツにもつと本人が語るSonic Youth、Led ZeppelinやGuided By Voicesなどのロックの影響を感じさせる音作りに、Charaや椎名林檎など2000年代ジャパニーズ・オルタナを彷彿とさせるようなSACOYANの歌唱が同世代リスナーの心を見事にくすぐる傑作アルバムとなっている。
冬にわかれて『なんにもいらない』
文筆家でありシンガーソングライターである寺尾紗穂(Vo, Pf)と、伊賀航(Ba)、あだち麗三郎(Dr, Sax)の3人からなるバンド、冬にわかれて。2019年発表の1stアルバム『なんにもいらない』から表題曲をご紹介。尾崎翠の詩から命名したというバンド名のとおり文学性を感じさせる音だ。オールドスクールなフォークソングのような詩世界、儚い旋律と下支えする熟練の演奏がまるで一本の映画を観ているような気にさせる。
ペペッターズ『“Dessau” – with Haruko Madachi』
チャットモンチーのトリビュートアルバムへの公募で最優秀賞を受賞したことを機に脚光を浴び、その独特な音楽世界で早耳リスナーの注目を集めるスリーピースバンド、ペペッターズ。今回ご紹介するのはゲストヴォーカルにWISELY BROTHERSの真舘晴子を招いた配信シングル「Dessau」。緻密に重ねられた音数の多いサウンドに真舘のアンニュイな声が重なり、サウンドの幅が大きく広がっている一曲。
Kikagaku Moyo『Cardigan Song』
高田馬場の路上から活動をはじめ、いまや全世界にその音楽を轟かせるサイケロックバンド、Kikagaku Moyo。こちらは2016年のアルバム『House In The Tall Grass』からの一曲。デモのような粗い音像の中に漂う、くぐもった歌唱と遠くに聴こえる口笛、つま弾くギターが秋から冬に変わる季節を運ぶ。
平賀さち枝とホームカミングス『おやすみ』
東京拠点のシンガーソングライター、平賀さち枝と京都発のバンド、Homecomingsのコラボ・プロジェクトによる2018年作。平賀さち枝と畳野彩加、ふたりの歌唱の素朴さと地に足の着いた実直さは聴く者に安心感を与える。冬の夜を毛布のように包む一曲。